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2020年3月25日(水) 17:30~18:00, 18:45~19:45
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藤田遼氏(京都大学理学研究科)
R行列の特異性、一般化された量子アフィン型Schur-Weyl双対性と次数付き箙多様体
アフィン量子群の有限次元既約表現のテンソル積の間の絡作用素として実現されるR行列は、スペクトル変数付きYang-Baxter方程式を満たす行列値有理関数と見做すことができる。その特異性はテンソル積表現の可約性を強く反映するため、アフィン量子群の表現圏のモノイダル構造を理解する上で重要である。この講演の前半では非捩ADE型アフィン量子群の基本表現に話を限定し、それらの間のR行列の分母を量子Cartan行列を用いて統一的に記述する公式についてお話しする。この公式は対応するADE型Dynkin箙の表現論や次数付き中島箙多様体の幾何とも密接に関係している。講演の後半ではKang-柏原-Kimによる一般化された量子アフィン型Schur-Weyl双対性についてお話しする。これは与えられた既約表現の族とそれらの間のR行列を用いて、アフィン量子群の表現圏と箙Hecke代数の表現圏を結びつけるモノイダル関手を構成するものである。良い具体例においてはこの関手を介して箙Hecke代数側のモノイダル圏化された団代数構造がアフィン量子群側に伝播する。ここでは特に前半の話の応用として、関手が非捩ADE型アフィン量子群の基本表現たちに付随して構成される場合には次数付き箙多様体を用いた幾何学的別構成が可能であり、それがしばしば関手の性質を調べる上で有益であることを説明する。