南大阪代数セミナー

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第9回

日時

2019年11月22日(金) 17:30~19:00

場所

I-siteなんば 2F S1 (I-siteなんばへは,地下鉄御堂筋線大国町駅が最寄りです.)

講演者

徳山豪氏(関西学院大学 理工学部情報科学科)

タイトル

行列式の一般化とアルゴリズムや数理

アブストラクト

Dodgsonによって1844年に発表された行列式計算アルゴリズムは、Desnanot-Jacobiによる行列式等式を用いたもので、現代的に見ると動的計画法によるシンプルな手法である。RobinsとRumseyはこのアルゴリズムの再検討によって、行列式を一般化したλ行列式を定義し、それが交代符号行列を用いてλに対する多項式として明示的な表示式を持つことを示し、かつVandermonde行列式に関するWeylの分母公式の一般化に成功した(1986)。さらに、交代符号行列の個数とPlane Partitionの母関数との関係を見出し、MacDonald予想の解決につながるとともに、様々な組合せ論の成果や、Squared Iceと呼ばれる統計物理のモデルのボルツマン関数との関連などへと研究が広がっている。講演者は、上記のWeylの分母公式の一般化をWeylの指標公式に広げることを1988年に発表しているが、その後理論計算機科学の研究に転向している。一方で、計算理論の主問題である計算階層の分離に関して、GCT(Geometric Complexity Theory)という、代数幾何と表現論を用いて計算階層の分離を行う、具体的には行列式と永久式(Permanent)の計算複雑度の分離を表現論で行う取り組みが契機になり、世界的に表現論の研究者と計算理論の研究者のコラボレーションが活発化し、いくつかのプロジェクトが動いている。我が国においてもそのような取り組みの必要性があり、本講演では、講演者の最近の成果や、興味を持っている未解決問題も含め、計算理論と表現論を含めた純粋数学の接点を探るための話題提供を行う。